コロナショック第一幕は終了。今、市場で何が起こっているのか、次に何が起きるのかを解説します。

- 1. コロナショック第一幕の終了
- 2. 2020/3/13の概況
- 3. そもそも何を以てコロナショック第一幕を終了と言っている?
- 4. 直近の相場の変動要素を因数分解
- 4.1. 相場下落の要因
- 4.2. 相場上昇の要因
- 4.3. 相場変動の要因の中身を詳しく見てみよう
- 4.3.1. 相場下落の要因その1:特攻薬のない、感染力の強い新型ウイルスの感染拡大
- 4.3.2. 相場下落の要因その2:コロナウイルスによるサプライチェーン停止問題
- 4.3.3. 相場下落の要因その3:コロナウイルスによる経済活動の停滞問題
- 4.3.4. 相場下落の要因その4:コロナウイルスによる企業業績の圧迫と倒産リスクの拡大
- 4.3.5. 相場下落の要因その5:米国大統領選挙における大統領交代リスク
- 4.3.6. 相場下落の要因その6:サウジとロシアの原油価格競争
- 4.3.7. 相場下落の要因その7:米国株式相場のベアマーケット入り確定
- 4.3.8. 相場下落の要因その8:逆資産効果による更なる下落圧力
- 4.3.9. 相場下落の要因その9:更なる株価下落による金融危機の発生
- 4.3.10. 相場下落の要因その10:CLO・CDS問題
- 5. まとめ
- 6. 最後に、二度退場した経験を持つ男からのメッセージ
コロナショック第一幕の終了

株猿

ボールガール

株猿

ボールガール

株猿
2020/3/13の概況
トランプ大統領が非常事態宣言を発令。発表の内容は以下の通り。
- コロナウイルス対策費500億ドル
- 学生ローン利子の免除
- 原油の戦略的備蓄
これを受けてダウが過去最大の暴騰を見せました。
3/13 ダウ終値 23,185.60 前日比+1985.00(+9.36%)過去最大
そもそも何を以てコロナショック第一幕を終了と言っている?
3/10の記事で以下のように言及しました。
上記の通り、各国が金融・財政出動に動き始めたこと、中でも米国が本気で対策を取りに来たという形で、相場もしっかりその動きに呼応して強烈な反発を見せたため、コロナショック第一幕の終了と位置付けています。
※誤解のないように言っておくと、強烈な下落が続いてましたので、目先はちょっとした期間のそれなりの戻りがあるとは見ていますが、中長期的にはまだ2~3段下があると考えており、「戻りは売り」が基本スタンスです。あくまで「第一幕が終了した」に過ぎません。
直近の相場の変動要素を因数分解

株猿
①何故暴落が続いてて
②何故昨日上がったと思う?

ボールガール

株猿
相場下落の要因
ここまでの相場下落の要因は以下の通り。いっぱいありますね。
- 特攻薬のない、感染力の強い新型ウイルスの感染拡大
- コロナウイルスによるサプライチェーン停止問題
- コロナウイルスによる経済活動の停滞問題
- コロナウイルスによる企業業績の圧迫と倒産リスクの拡大
- 米国大統領選挙における大統領交代リスク
- サウジとロシアの原油価格競争
- 米国株式相場のベアマーケット入り確定
- 逆資産効果による更なる下落圧力
- 更なる株価下落による金融危機の発生
- CLO・CDS問題
相場上昇の要因
一方、昨日の相場上昇の要因は以下の通りです。
- FRBの大量資金供給
- 非常事態宣言で、大統領選挙におけるトランプ優勢の材料が増えた
- 原油価格下落に歯止め
- 自立反発と週末のショートカバー
それでは、以下詳しく見て行きましょう。
相場変動の要因の中身を詳しく見てみよう
相場下落の要因その1:特攻薬のない、感染力の強い新型ウイルスの感染拡大
特攻薬がまだ開発されてない、感染力の強い新型ウイルスが世界中に絶賛拡大中で、いつ終息するかわからないという下方リスク因子があります。結構な不安要素ですね。
以下のいずれかが達成されると、リスクは織り込み済みになる可能性はありますが、もう少し時間がかかりそうですね。
- 特攻薬が開発される(量産体制確保ではなく開発で良い)
- 感染拡大がピークアウト
- イギリスの「ピーク抑制策・集団免疫獲得策」の実効性が実測できるようになる
相場下落の要因その2:コロナウイルスによるサプライチェーン停止問題
コロナウイルスによって、世界の工場と呼ばれる中国の工業生産が機能不全に陥り、世界中のサプライチェーンが停滞しました。中国の工場再開については100%完全ではないものの一定の目途が立ちましたが、現在まさに感染拡大中の他国においては、中国で起こった問題が時間差で発生しつつあります。
以下のいずれかが達成されると、リスクは織り込み済みになる可能性はありますが、もう少し時間がかかりそうですね。
- 中国の工場稼働・飲食店稼働・テーマパーク稼働が再開
- イギリスのコロナウイルス対策の結果がある程度判明する
相場下落の要因その3:コロナウイルスによる経済活動の停滞問題
コロナウイルス感染予防対策で外出を控える人が増えたため、旅行業、旅館・ホテル、航空・鉄道・客船等、旅行業界に大損害が発生しています。また、外食やイベント産業なども同様でしょう。日本国内では、他社に営業や打ち合わせに行くことを禁止する企業も増えており、企業にとって苦しい時間が続きます。
そして、今はまだコロナウイルスによる影響をしっかり反映した正確な経済指標や企業業績はまだひとつも出ていない状況にあります。つまり、悪いことはわかっていても、どれくらい悪い数字になるのかということが、まだちゃんと織り込まれていないわけですね。
以下のいずれかが達成されると、リスクは織り込み済みになる可能性はありますが、これももう少し時間がかかりそうですね。
- 感染拡大がピークアウト
- イギリスのコロナウイルス対策の結果がある程度判明する
- 時間の経過で人々が慣れ、企業活動の月次の数字に反映され始める
相場下落の要因その4:コロナウイルスによる企業業績の圧迫と倒産リスクの拡大
体力のある企業は自前の資金力や信用力を以て、何だったら銀行借り入れを増やすことで事業の継続は可能でしょうが、世の中そんなに体力のある会社ばかりではありません。体力のない、信用力のない小さな会社は、こういった局面では銀行から借り入れができず、倒産が相次ぐということに繋がるリスクがあります。世の中、大企業と中小企業、どちらが多いかと言えば、後者の方が圧倒的に多いわけで、そのような連鎖が続けば、経済は極端に悪化してしまいます。
ここに対して、FRBは3/12に以下の発表を行いました。
- 短期金融市場に5000億ドル注入
- 600億ドルの国債買入も実施
また、3/13の非常事態宣言により、コロナウイルス対策費500億ドルが支出されます。これは当然コロナウイルス対策であると同時に、実質的には財政出動による景気刺激策の側面もあります。
財政政策でコロナウイルス封じ込めを進め、同時に経済後退を防ぎ、金融政策で市場に大量の金を放出して、貸し渋りによる倒産を未然に防ごうという対策ですね。
これが、昨日株価があがった要因のひとつです。
相場下落の要因その5:米国大統領選挙における大統領交代リスク
そもそも、トランプ大統領は、史上類を見ないほど株価を気にして株価上昇策を取ってきた実績のある大統領です。そんな実績のある大統領が、海のものとも山のものともわからない、実績が全くない他の候補に代わるということは、それ自体が株式市場に取っては大きなリスクになります。
しかしながら、トランプ大統領が非常事態宣言を発令したことは、この大統領選挙という側面で見ると以下のような効力を発揮することになります。
・民主党候補は学生ローン免除を公約に掲げている候補が多いが、民主党の公約を先行してやってしまった(つまり民主党候補の公約をつぶしただけでなく、候補の口約束でもなく、俺はもうやったと言える)
・不安定な時期に、協力なリーダーシップを発揮した実績を作れる(つまり、こんな不安定な時期に、強力なリーダーシップを発揮できた実績のある大統領と、ポッっと出のどうなるかわからん奴、どっち選ぶかという話ができる)
つまり、トランプ大統領が非常事態宣言で強力なリーダーシップを示し、民主党候補に対して優位を確保したことを市場が好感した、これが昨日株価があがった要因の二つ目です。
相場下落の要因その6:サウジとロシアの原油価格競争
こちらの記事で書いた通り、原油価格が暴落すると、以下のようなメカニズムでオイルマネーが市場から逃げだします。
- 原油価格が暴落する
- 国家歳入を原油に頼り切った産油国の国家財政収支が悪化するため、それを見越して投機マネーがいち早く逃げ、株価下がる
- 実際に産油国の国家財政収支が悪化する、一部換金売り、更に株価下がる
- 株価下落による逆資産効果で投資・経済活動停滞、原油価格下がる
- その過程でオイルメジャー業績悪化して苦しくなる
- 以下、①に戻る・・・・
これに対して、トランプ大統領は非常事態宣言で石油備蓄を宣言し、原油価格の下落に一時的な歯止めを掛けることを試みました。これによって、原油価格下落で苦境にあるオイルメジャーに一息付かせると共に、オイルマネーについても落ち着かせる効果を狙ったものです。これが昨日株価があがった要因の3つ目です。
これを受けて、WTIは32.97(前日比+1.47,+4.67%)の上昇を見せており、一旦原油価格は素直に反応しています。
但し、サウジアラビアは4月からの増産を宣言しており、原油価格の下方圧力は依然高い状況が続きます。また、3/13にダウが前日比+9.36%の上昇を見せた一方で、XOMは前日比+2.53%、RDSaは+2.56%、BPは+2.78%と、オイルメジャー各社が冴えない動きを見せており、一切楽観はできません。
相場下落の要因その7:米国株式相場のベアマーケット入り確定
ダウは高値から20%以上下落を見せており、ベアマーケット入りしています。
相場下落の要因その8:逆資産効果による更なる下落圧力
株券や不動産等の資産が値上がりした場合、それを持つ所有者の資産が増加することになりますが、それによって担保価値・信用余力が増える形になります。これを「資産効果」と言います。
資産が値下がりした場合、逆の事が起きるわけですね。担保価値・信用余力が激減します。
このところの世界的な株価の暴落により、この逆資産効果が大きく発生していること、これが相場下落に拍車をかけています。
この逆資産効果は、特に買収や出資によって企業価値を大きく増やしてきた会社などに対して影響が大きく出ます。
具体例を言うと、ソフトバンクグループなどはその代表例でしょう。特にソフトバンクはWework、Uber,OYOなど問題のある会社を抱えており、非常に苦しい状況にあると思います。ソフトバンクのような大きな会社が万が一にも倒れてしまった場合、連鎖倒産で恐慌が起きても不思議ではありません。
ソフトバンクを例に記載しましたが、この手の企業は数多く存在するため、これがどれだけのインパクトがあるものなのか、現時点では正直想像もつきません。(リスクとして意識はされているものの、正確に試算不可能)
相場下落の要因その9:更なる株価下落による金融危機の発生
上記の逆資産効果の波及とコロナウイルスによる経済の長期停滞が重なり、金融機関に連鎖倒産するというシナリオもあります。米国はそこに至るのを防ぐために、今このタイミングで資金供給を迅速に増やし、財政出動を増やし、必死に止血を始めたところです。多くの市場関係者が、この取り組みが上手く行くのか行かないのか、行方に注目しています。
当然リスクとして意識はされており、織り込みに動き出してはいるものの、これも要因その8同様、全く試算はできません。
相場下落の要因その10:CLO・CDS問題
そして、密かに注目を集めているのが、信用力の低い融資を集めて証券化したCLO(ローン担保証券)ですね。低格付け債の利率が急上昇し始めており、イールド債→CLO・CDS→デフォルト連鎖でデリバティブ破綻→世界恐慌という流れが意識され始めています。
平たく言うと、商品は違いますがサブプライムローンみたいなものが大量に売られて、お馬鹿さんがまた大量に買ってしまって、今非常にマズい状態にあるというところですね。
まとめ
相場下落の要因
- 特攻薬のない、感染力の強い新型ウイルスの感染拡大
- コロナウイルスによるサプライチェーン停止問題
- コロナウイルスによる経済活動の停滞問題(旅行、外食、イベント、営業活動)
- コロナウイルスによる企業業績の圧迫と倒産リスクの拡大
- 米国大統領選挙における大統領交代リスク
- サウジとロシアの原油価格競争
- 米国株式相場のベアマーケット入り確定
- 逆資産効果による更なる下落圧力
- 更なる株価下落による金融危機の発生
- CLO・CDS問題
相場上昇の要因
- FRBの大量資金供給
- 非常事態宣言で、大統領選挙におけるトランプ優勢の材料が増えた
- 原油価格下落に歯止め
- 自立反発と週末のショートカバー
今回の非常事態宣言が持つ意味
コロナ→経済悪化→低格付け債の焦げ付き→金融危機→世界大恐慌発生に向かう連鎖を断つためのものであり、「止血に動きだした」というのが今の状況です。
そして、
そうなるリスクが相当に高いと米国大統領およびFRBが判断し、
絶対にそうさせてはならないと強い決意を以て動き出したと同時に
そういうリスクが今まさに迫っているぜという強いメッセージを市場に発している
ものだと解釈ができます。
今後一体どうなるのか?
止血に成功した場合、市場にあふれる金によって、バブルが発生するでしょう。天文学的な数字の金融政策は、企業倒産を事前に防ぐ特攻薬であると同時に、服用量を間違えれば劇毒にもなりえます。
止血に失敗した場合、このまま金融危機に向かうことになるでしょう。
だから、今はまだ「コロナショック第一幕の終了」なのです。
最後に、二度退場した経験を持つ男からのメッセージ
先の長い相場、決して相場を甘く見てはいけません。
目先激しく下げた分、それなりの戻りはあるでしょう。時に激しく、時に緩やかに、見ている者に「今買わないともう買えない、これだけ下げたのだから勢いよく戻るはずだ」とでも思わせるかのように。
でも、騙されてはいけません。
そんなに焦らなくても、まだまだ人生は長いのです。
買うチャンスはいくらでもあります。
今、相場はどんな状態にあるのか。世界は何を考えているのか。
自分を取り巻く環境に、どんなリスクが潜んでいるのか。
それをはっきりと認識した上で、生き残りを第一としてください。
生きてさえいれば、どうとでもなるのです。

株猿
リスク許容度を超えるポジションを取らない。
損を取り返そうと無茶をしない。
そんな当たり前の基本を大事にしてください。

ボールガール

ブラック株猿
これまで世界に何回危機があったでしょうか?世界はその全てを乗り越えて今ここまで来たのですから。
そして頑張って生き残った先には、あらゆるものが信じられないバーゲン価格で手に入る夢のような世界が待っているかも知れません。

ボールガール
それではまた。
明日に向かってFIRE!!
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